ステラリス 開発者日記 第230回 Aquatics船とthe Drakeのアート

スポンサーリンク
更新情報

パラドックス社の公式フォーラムに
ステラリスの開発者日記 第230回が掲載されています。

今回は新DLC、Aquatics Species Packで実装される宇宙船と、特別な存在the Drakeのアート面についてのお話です。

以下パラドックスフォーラムの内容を意訳したものとなります。
※画像等はフォーラムより引用。
スポンサーリンク

ステラリス 開発者日記 第230回 Aquatics船とthe Drakeのアート

今回の担当はステラリス・コンセプトアーティストのPavelGoloviiさん、David Strömblad Lindhさん​です。

冒頭のあいさつ

こんにちは!私の名前はPavel Goloviiです。
私はStellaris Aquatics Species Packを手がけたアートチームのコンセプトアーティストです。
今回はコンセプトアーティストの視点から船のデザインの開発プロセスを紹介します。
最初のアイデア出しのプロセス、インスピレーション、視覚言語、個々の船のクラスの外観の定義についてお話しします。

概要

コンセプトアーティストの仕事のスタートは漠然としたアイデアや定義に基づいて、ゲームの側面の明確な視覚的解釈を提案することになります。
この最初の段階での目標は、水棲生命体の船のスタイルを探り、ある種の視覚言語を生み出して、既存のStellarisの世界観にも合うような水棲船のセット全体を作り上げることでした。
アートディレクターのSimon Gunnarsonはコンセプトアートチームのために主なポイントを明確にしました。
船のスタイルは船を造った種の水棲性と感覚的なオリジンを伝えなければなりませんが、アーティストはあまりにも文字通りの解釈(例えば:海の動物を宇宙船に変換する)を避けなければなりません。
また伝統的ではない有機的な形を目指す一方で、人工的に作られたものであることをも明確に示す必要がありました。
こういった(アートディレクターからの)説明は、私たちの芸術実験のために非常に広いフェアウェイを残してくれるナビゲーション・ビーコンの役割を果たしました。

インスピレーション

新しいコンセプトの仕事を始めることはワクワクすると同時に不安にもなります。
私は最初の一歩として、そのテーマについてより多くの情報を得るようにしています。
というのも、このプロジェクトに参加するずっと前から水中世界というテーマは私の興味と情熱の一部だったからです。
経験豊富なダイバーでありアマチュアの水中写真家であることは、個人的に多くの感情的な経験を与えてくれ、私の作品を後押ししてくれました。
また、ザハ・ハディドやサンティアゴ・カラトラバといった現代建築家からも多くのインスピレーションを得ました。
彼らの作品は有機的な形を構築要素として解釈した、素晴らしい例だと思います。
そしてもちろん自然そのものが無尽蔵のアイデアの源となります。

エルンスト・ヘッケルが描いた放散虫の絵(左)は、タイタンの船首砲をはじめとする多くの船の要素に影響を与えました。 現代の建築やデザインは、有機的な形態の解釈の素晴らしい例となっています(右)。

スタイル探し

私は大きなデザイン・エンティティから始めて、どのようなプロポーション、形状、パターンが水棲生物の船を特徴づけるかを見つけようとしました。
細くて流線型なのか、それとも大きくて丸みを帯びているのか?
その特定の形が見る人にどのようなイメージをもたらすのか?
ステラリスのゲームにはすでに軟体生物が登場していますが、これは水棲生物のテーマと多少関係があります。
ですから新しいデザインは同じ形の言語を使わず、異なるものとして受け取られることが重要でした。

Pavel Goloviiによる初期のスタイル探求スケッチ

Mattias Larssonによるスタイル探求のスケッチ。

大まかな形やプロポーションが決まりテーマに沿ってうまく機能していることが理解できたら、次は小さな要素を探っていく必要があります。
これは後に「ストーリー全体を書く」ための視覚言語を充実させるようなもので、すべてのシップクラスのデザインが対象になります。
窓、エンジン、ディテールアップなどの多くのディテールは、船のクラスを超えて共有されます。これによりスタイルが伝播しより良いスケール感が得られます。
ビューポート(表示領域)として認識されるディテールは戦艦でもコルベットでもほぼ同じ大きさでなければなりません。
したがってもう一つの重要なステップは、これらの要素が異なる船のサイズに対してどのように機能するかをテストすることです。

Pavel Goloviiによるこのスケッチシートは、ビューポートのようなさまざまな要素の調査と、小、中、大の船のスケール感を得る試みを示しています。

Pavel Goloviiによる素材と色を探索するスケッチ。

そして最後が色と素材の探求です。
この段階では船に使用される素材のセットを把握しようとします。
一次、二次メッキはどのようなものになるのか?
特定の素材がカバーする面積はどれくらいか?
そのメッキにはどのようなテクスチャーが使われるのか、また他の素材と隣接したときにどのように見えるのか?
こういったことをスケッチで答えていかなければなりません。
この段階ではコンセプトアーティストと3Dアーティストが密接に連携して作業を進めます。
素材の外観はゲームエンジンに大きく依存するため、芸術的、技術的な観点から可能性と限界を検証するのが良いでしょう。

3DアーティストのAnton Hultdin(左)とTim Wiberg(右)による素材の探求。

スタイルの開発段階で得られたすべてのアーティスティックな知見は、最終的にアートディレクターによってスタイルガイドにまとめられ、次のステップのための主要な参考資料となりますが、それが唯一の参考資料ではありません。

船クラスのデザイン

ビジュアル言語が定義されると、その言語を使って「ストーリーを書く」時がやってきます。
これは各(船)クラスが、与えられたスタイルの中で独自の外観を得るべきところであり、より多くのルールや制限が適用されるところでもある。
船はいくつかの交換可能なモジュールで構成されており、各モジュールは独自の砲搭載セットを持っています。
モジュールは互いにシームレスなジョイントを持ち、銃座は特定の固定されたサイズを持つべきです。

Pavel Golovii氏によるクルーザーのコンセプト。これはすべてのモジュールのデザインを示すワークインプログレス(開発途中)です。オレンジ色の線はモジュール間の継ぎ目を表しています。左にあるコルベットの絵はスケール感をコントロールするためのものです。

船のクラスにはそれぞれ特徴があるのでそれを外観で表現することが重要です。
素早いコルベットと重厚なタイタンの違いは、大きさだけではなくプロポーションやシルエット、独特のディテールにあります。
プロポーションやシルエットは特にステラリスのように遠くから船を観察する場合、見た人が最初に読み取るものです。そのためこのレベルでの差別化が重要になります。
いくつかの要素は、船を他のクラスからさらに差別化しその目的をより明確にするのに役立ちます。

Mattias Larssonが科学船(中央)用に最初に設計した回転する円形要素は、研究ステーションPavel Golovii作)やスターベースのサイエンスモジュール(Anna Windseth作)など他の科学関連構造における際立った特徴となりました。

テーマに沿って多くの要素のデザインに海洋生物のモチーフが使われています。
難しいのは、それが見る人にある種の連想を与えつつも、鼻につくようなものにならないように絶妙ななバランスでそれらを表現することです。
大きなジンベエザメを連想させる巨艦を作るのはいいですが、それがサメそのものに見えてはいけないですし、船が有機体そのものをベースに持つのではなく、あくまでも製造された船であることを意識しなければなりません。
意識して連想しなくても見る人が無意識のうちにそれらを読み取るようにするのが理想的です。

タイタン船クラスの最初のスケッチはジンベイザメとマンタをモチーフを使用しました。その過程でタイタンは以前の砲とは違った外観になりました、「マンタ」 のモチーフは建設船のデザインに使われました(一番左の画像)。Pavel Goloviiによるスケッチです。

コンセプトアーティストの仕事は見た目だけではなく、「どのように機能するのか」を考えることも多いです。
アクアティック・コロッサス・クラスのデザインは、触手を最大の特徴とする非常に野心的なものです。
触手がどのように曲がりどのように伸びるのか、そのメカニズムを解明するために多くの努力が払われました。
メカニズムを証明するために3Dモデルが作成されアニメーション化されました。
またコロッサスには非常に複雑な特殊効果があるとされているため、VFXアーティストが参考にできるようコンセプトシートに特殊効果のスケッチが描かれています。

Mattias Larssonがデザインしたコロッサス・クラスの船。コンセプトシートにはVFXのスケッチや、触手の構造の詳細な内訳(右下)が記載されています。

管理人注:ここでGIF画像がありますが貼れないので、元サイトにてご確認ください。

船以外のもの

ステラリスのゲームにおいて、船はキャラクターと並んで重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
しかし、このゲームの宇宙の居住区には静止した人工物である宇宙ステーションがありこれらも重要な役割を果たしています。
デザイン的には船の直系の子孫ともいえるもので、船の外観から多くのものを受け継ぎ同じスタイルを共有しています。
しかしステーションの開発には独特のものがあります。
ステーションは惑星や星の周りを回る静的な物体であり、中心に向かって重みがかかりどの方向にも向いていない比率と形状で反復されている必要があります。
またステーションの種類によっては様々な機能を持つモジュールを追加することでレイアウトが変化し複雑になっていくものもあります。

Anna Windsethが作ったスターベースのデザイン。この図面ではステーションの構造と前哨基地から強固な城塞へと進化する様子が描かれています。放射状の対称性はこの物体の静的な性質を強調するのに役立ちます。

PavelGoloviiによる採掘ステーションのコンセプト。このステーションのシルエットは工場との連想や産業機器へのヒントになるはずです。

コンセプトが完成した後の生活はどうなりますか?

コンセプトが完成しアートディレクターの承認を得た後、モデリング、テクスチャリング、マテリアルのセットアップを行う3Dアーティストに引き継がれます。
これを行うのは外注先のアーティストの場合もあります。
その場合コンセプトアーティストは3Dアーティストと直接コミュニケーションをとることができないので、コンセプトシートにはできるだけ詳細な情報を記載し誤解や余計なフィードバックが発生しないようにする必要があります。
パラドックスのスタジオ内で船の生産が計画されている場合は少し異なります。
コンセプトアーティストは3Dアーティストと直接コラボレーションすることができ、求められた情報を即座にフィードバックすることができます。
またコンセプトアーティストは自分のアートワークをより自由にレンダリングしたりディテールを表現することができます。

コンセプトアーティストから依頼されたタイタン船の船尾部への追加トップダウンドローイングとペイントオーバー。モデルはAbraham Gomezが担当しています。

船のデザインプロセスについてはまだまだ説明できることがたくさんありますが、それは開発日記の記事フォーマットを超えています。
この記事を読んで少しでも興味を持っていただければ幸いです。
そして何よりも来たるべき水棲生物パック(Aquatic species pack)の船のデザインを楽しんでいただければ幸いです!
以下に、パック発売までの暇つぶしになるようなコンセプトをいくつか紹介します。

Pavel Goloviiによる戦艦のコンセプトアート

Mattias Larssonによるジャガーノートのコンセプト

Pavel Goloviiによる巡洋艦のコンセプト

水棲ドラゴンのモデリング

私の名前はDavid Strömblad Lindhです。Paradox Development Studioでのインターンシップを終えた後、最近Stellarisの3Dアートチームに加わりました。

私の仕事は当初、既存のドラゴンのテクスチャーセットを作り直すことでした。
しかしアートプロデューサーが素晴らしいアイデアを出してくれました。
それはアートとゲームデザインのさまざまな分野からなる、ドラゴンを扱う小さなチームを作るというものでした。
異なるスキルを持った人たちが、早い段階から一緒に仕事をすることでコミュニケーションが密になり役割の違いによるギャップが少なくなりました。

私の仕事はコンセプト・アーティストと並行して、ミニ・プリプロダクション(小規模な事前作業)の一部として始まりました。
エンジンの処理能力を高め、ゲーム内でアイデアを試し、シェーディングやライトニングにどのような制限があるかを確認します。
そしてどの部分にも時間をかけないように、何でも削れるという意識で3Dにてアイデアを大まかにブロック化していきます。
2Dの平面的なコンセプトではうまくいっても、フル3Dではうまくいかないこともあります。

管理人注:ここでGIF画像がありますが貼れないので、元サイトにてご確認ください。

コンセプトが承認されたらシルエットの最終調整に時間をかけ、ディテールを追加していくことができます。
真っ白なキャンバスから始めることは時として困難を伴います。
3Dスカルプティングも例外ではなく、赤ちゃんのような滑らかなモデルに経年変化や風化を加えようとします。
この問題を解決するために、私は以前のプロジェクトで使用した古いSubstance Designerファイルを探し回り、ドラゴンのシールドの表面に投影できるハイトマップを見つけました。
完璧である必要はありませんがディテールのスカルプトを続けるための材料となります。

(1)トポロジを使用してスカルプトをハイライトしディテールを表示します。(2)中程度のディテールを加えてスカルプトします。(3)高ポリゴンからのベイク処理情報を追加した低ポリゴンモデル。(4)VFX用のプレースホルダを持つ最終的なテクスチャモデル。

最終製品がどのように見えるか感触を得ることは重要であり、そのためにはモデルをできるだけ早くゲームに投入することが重要です。
ローポリモデルの最初の草案であっても、ベイク処理されていないテクスチャがあれば、ゲーム中の雷がモデルにどのような影響を与えるかを知ることができます。
その時点からモデルを継続的にエクスポートし、ゲームでの変更点を確認しながら簡単に反復作業を行うことができます。
そうすればモデルに多くの時間を費やしたものの、最終的にモデルが機能していないことに気づくのを避けることができます。

在宅勤務をする際には、自分の空白を埋めチームの他のメンバーとコミュニケーションを取ることがこれまで以上に重要になります。
私がコンセプトアーティストと親しく仕事をしたように、私の後に続くVFXアーティストやアニメーターと寄り添って仕事をしていきたいと思っています。
ですので私は彼らの仕事を難しくするものを作るのではなく、彼らの仕事を楽にするためのモデルを用意します。

ステラリスで3Dアーティストとして働くことの面白さは、このような作業にあります。
次々と船を制作するだけでなく、自分の得意分野以外の仕事にもチャレンジしています。

-・-・-・-

来週は水棲生命体のポートレートに関するアートプロセスについてもう少し詳しく話します。


以上

フォーラム内のやり取り(Q&A)

フォーラム内のやり取りで気になったものを紹介。

※引き続き管理人多忙のため休止中です。再開まで今しばらくお待ち下さい😥

感想・まとめ

以上、Stellaris 開発者日記 第230回の紹介でした。

Aquatics Species Packに関するビジュアル面のお話となりました。
この分野の難しいことはさっぱりわからないので訳がおかしいところがきっとあると思いますがご了承ください😥

最近3Dプリンターを買おうかな~と思ってるので、ドラゴン(Drake)モデルのところは興味深かったです。

来週もグラフィック関係のお話で、こういった話題が続くって事はもうほとんどDLC出来上がってしまってるのだろうと思います。
リリースを楽しみに待ちたいですね😊