2023/2/20 フォーラム内のやり取りについて更新
2023/2/23 文中に一部、変な表記があったので修正しました
パラドックス社の公式フォーラムにステラリスの開発者日記 第287回が掲載されています。
今回は新DLC、First Contactで登場するMinamar Specialized Industries(MSI)についてアート面からアプローチする内容です。
リリース後数年を経てStellarisに公式日本語が実装されたことに伴い、管理人が翻訳した開発日記登場の用語と実際にゲーム中に登場する用語・表現が一致しない事があるかと思いますがご了承下さい。
※画像等はParadoxフォーラムより引用しています。
ステラリス 開発者日記 第287回 MSIのアート
冒頭のあいさつ
こんにちは、Stellaris開発チームのコンセプトアーティスト、Lloyd Drake-Brockmanです。
私はFirst Contact DLCに関する多くの仕事をしており、このストーリーパックDLCで私とアートチームが行った芸術的な旅の一部を共有できることに興奮しています。
具体的には、非常に興味深いビジュアルスタイルを持つ新しいノンプレイヤーの派閥であるMSI(Minamar Specialized Industries)の開発について説明します。
私は彼らの視覚的要素のほとんどのデザインに関わりました。
ステラリスの世界ではかなりユニークなデザインの素晴らしいセットになったと思います。
この派閥のさまざまな要素に取り組んだ私のデザインの旅をご紹介します。
Stellaris公式のビデオ開発者日記をご覧ください。
MSIの旗艦
フラッグシップ(旗艦)は私が手がけたMSIの最初の要素でした。
これは複雑なデザイン上の課題であり、MSI全体の美学に影響を与えました。
デザインに制約を与えるようなゲームプレイ上の要件がかなりあっただけでなく、プレイヤーにMSIの本質を理解させるようなユニークな視覚言語を備えています。
Corporate Vaporwave(コーポレート・ヴェイパーウェーブ)は、この船の全体的な美観のための概要でした。明るいネオン、古典的な建築物、現代的な企業感覚を組み合わせたものです。
まず最初にこだわったのは全体のフォルム(形状)です。
堂々としていて、美しく、神秘的で、冷酷でなければなりません。
右下のスケッチがほぼ完成した船を上から見たときのデザインになっているのがおわかりいただけると思います。
まずトップビュー、それからサイドビューのデザインを考えました。
私はこの船に何らかの中心的な回転要素を含むことを強く希望していました。
この船はゲーム内の他のほとんどの船とはかなり異なる動きをした何らかの独特の駆動システムを持っていることを示したかったのです。
このスケッチに満足した私は3Dでモックアップを作成しました。
ここでは3つの段階を経て船の形が洗練されていく様子をご覧いただけます。
そしていよいよコンセプトの最終段階へ至ります。
これがこの船のコンセプトアートの最終版です。
この画像の目的は3Dチームとアニメーションチームがゲーム内で船を建造するために必要なすべての情報を提供することです。
コンセプトは主に3Dで構築されており、大理石のパネルの縁の周りに金のディテールなどの特定の要素が後からPhotoshopで追加されました。
MSIのユニフォーム
船の次に考えたのはMSIのポートレート(肖像画)でした。
ゲームに登場する既存の種族を用いそこにユニークな衣装を着せることは早い段階で決まっていましたので、私がコンセプト化しなければいけないのはユニフォームだけでした。
まずはスケッチから始めました。
ステラリスのポートレートはすべて右に向いていますが、私は衣装を左右対称にスケッチすることにしました。
この方がスケッチが早く済みますし描く過程で考えることも少なくて済みます。
ミステリアスなヘッドカバーが欲しいというのは分かっていたのですが、より神秘的な路線にするか、それとも企業的な路線にするか迷いました。
結局、ローブのデザインは別の作品から大きく引用し、上にスケッチしたヘルメットを追加してユニフォーム全体を構成しました。
このスケッチが承認されると、私はさらに洗練化を行いました。
男性用と女性用のバリエーションも必要だったので別バージョンの服を追加しました。
ここで、これらのコンセプトを別のアーティストに渡し絵を完成させ、アニメーション用のアセットを準備しました。
これらのポートレートを高い水準に引き上げ、ゲームのすべてのシステムで適切に動作するようにするために、多くの作業が各ポートレートごとに行われます。
最終的な結果に最高に満足しています。
MSIの外交室
当然、これらのキャラクターがビデオ通話を受ける場所が必要で、MSIの外交室についても私の仕事となりました。
このアセットについては最終的なゲーム内の状態になるまでずっと取り組んでいました。
私はMSIの代表者がフラッグシップの船内から電話をかけてくることを想像していましたが、彼らが他の場所にいる場合に備えてあまり具体的なビジュアルにはしたくありませんでした。
いずれにせよ、彼らの船と衣装のデザインを考えると、豪華な大広間がふさわしいように思えました。
私の頭の中にはどんな光景にしたいかというビジョンがありました。ですから最初のスケッチは非常にラフなものでした。
ですがそれがうまくいくだろうという予感が私には十分ありました。
ここからは3Dの作業に移り、全体のシーンを作り素材や照明に気を配って空間に求めていた壮大さを感じさせました。
また部屋の上部にある柱は、画像の上部から遠くの天井に向かって消えていくようにし、見た目以上に空間を広く感じるようにしました。
ホールの側面にある胸像はプレイ可能な種ではありませんーもちろん人間以外ですーがファーストコンタクトDLCの他の場所にも登場しており、ストーリーパックのいくつかの要素を結びつける楽しい方法だと思いました。
この作業タイミングから最終的なクリーンアップはPhotoshopの作業へと移りました。
ご覧のように壁や床の明るい反射はほとんど塗装されています。
それらは正確なものではありますが、最終的な画像では見る側の気を散らしすぎてしまいました。
Paybackイベントのイメージ
これはMSIを使った最後のアート作品です。
自分が構想した船をシーンで見せることができとても楽しかったです。
これは最近公開されたFirst Contact DLCのティーザー予告編のショットに似ていると感じている方もいるかもいらっしゃるかもしれません。
ですが、このイメージが先だったと自負しています!
この画像のために渡された概要では宇宙の都市の上空にMSIフラッグシップが迫っている姿が見えることを求められていました。
船は宇宙に出るべきなのか、それとも都市の上空より低い位置にいるべきなのか、いくつかの迷いがありました。
以下は私が最初に描いた構図の一部です。
(A)のバリエーションで、宇宙船を見せつつも惑星上の人物の視点から見ることができるようにしました。
この画像には建物が必要だと考えていました。
そこで現実の都市の衛星画像のテクスチャをシンプルなジオメトリに投影するという新しい手法を採用し、説得力のある建物を作り上げました。
すでにMSIフラッグシップの3Dモデルを持っていましたので、それをマッチングさせた照明でレンダリングし、すべての要素をPhotoshopで組み合わせました。
建物の看板に命を吹き込むため、エイリアンの文字を作って楽しみました。
これらのほとんどはゲーム内の画像では小さすぎるため確認できません。
しかしスケールダウンしたときに最終的なイメージが正しい「感触」を持つようにするには、やはり(文字を)入れる必要があると感じています。
完成した作品の中の船の姿にとても満足しました。
日中に月を見ると暗い面が見えないのと同じように、暗い部分はすべて空の青によって隠されています。
さて本日紹介しなければならなかったのは以上です!
読んでくださりありがとうございました。
First Contact DLCをプレイして私のアートを見、楽しんでもらえると嬉しいです!
以上
フォーラム内のやり取り(Q&A)
今回はフォーラム内で開発陣からの回答がありませんでしたので、
「なし」としたいと思います。
グラフィック面の日記なのであまり回答するような事も無いんでしょうね。
感想・まとめ
以上、Stellaris 開発者日記 第287回の紹介でした。
脳内のイメージを絵に落とし込んど、3Dモデルも作って、Photoshopで修正も行って…と才能ある方はやっぱりすごいですね。
さて、ビジュアルのお話が出てきたということはもうリリースも近そうですね。
あとは音楽関係の開発者日記が来たらリリース…というのがいつものパターンですが、果たしてどうなるでしょうか。
それでは( ✧Д✧) カッ!!