2022/3/13 フォーラム内のやりとりを追記
パラドックス社の公式フォーラムにステラリスの開発者日記 第245回が掲載されています。
今回は新しくゲームに実装予定のシチュエーションシステムについての内容です。
※画像等はフォーラムより引用。
ステラリス 開発者日記 第245回 シチュエーションがある
冒頭のあいさつ
今週の開発者日記へようこそ!
Eladrinは今週、エキサイティングなことで忙しいので、私が次のパッチで追加されるであろう、同じくらいエキサイティングである、新しいシチュエーションシステムについて書くことになりました。
シチュエーションシステム
シチュエーションシステムを実装するアイデアが生まれたのは、Stellarisにはアノマリーや考古学的遺跡など、起きたことを伝えるための優れたシステムはありますが、今起きていることを伝えるための構造は欠けているという認識に由来します。
このようなストーリーは数多くありますが、私たちが望むほど複雑ではなかったり(例えばより多くの要素を考慮することが望ましい)、私たちが実装するには不釣り合いなほど複雑(例えば製作に時間がかかりバグが発生しやすい)ということがよくあります。
いずれにせよこのようなストーリーやイベントの連鎖はフォローしづらく、イベントが互いに関連していることや、あることがなぜ起こるのかが必ずしも明確でないため、プレイヤーの体験が思い通りにならないことが多いのです。
このような状況を改善したいと考え次のようなシステムを導入することにしました。
- プレイヤーに現在の出来事のイベントチェーンを体験するためのインタラクティブで有益なインターフェイスを提供する。
- 新しいコンテンツを(比較的)簡単に追加できる構造を提供する。
最初はEU4(Europa Universalis IV)のDisasters(災害)からヒントを得ましたが、伝えたいストーリーのすべてが災害ではないことに気づきよりUX重視の解決策を求めたため、すぐにEU4とは異なるものとなりました。
結果はこのモックアップで確認できます。
これを少し解きほぐすと次のような流れで進みます。
1.シチュエーションが始まります。これはイベントなどを通じて発生します。
シチュエーションは帝国全体に及ぶこともあれば一つの惑星に集中することもあります。
2.毎月、シチュエーションに対するあなたの対応によってシチュエーションの「進展度」が上向き/下向きになります。
3.シチュエーションが進むと次の「ステージ」に到達することがあります。
多くの場合これが発生すると同時にイベントが発生し、ストーリーが展開されます。
影響は現在のステージに基づいて帝国または惑星に適用することもあります。
例えば不安定性に基づくシチュエーションは各ステージごとに安定性を10減少させるかもしれません。
4.また月ごとに発生するランダムなイベントが途中で発生することもあります。
通常のイベントとシチュエーションベースのイベントを区別するため、イベントのインタフェースにいくつかの調整が加えられました。
5.プレイヤーは「アプローチ」を選択することでシチュエーションにどのように対応するかを選択できます。
場合によっては、イベントを使用してこれらを変更するように求められることがありますが、それ以外の場合はシチュエーション・インタフェースで自由に選択できます。(選択肢を選ぶためのクールダウンが必要かどうかはまだ決めていません)。
アプローチは通常「Xの統合力を月ごとに使用してより早い進捗を得る」 など、時間の経過とともに影響を及ぼします。
6.シチュエーションの進行状況バーのいずれかの端に到達すると通常は、何らかが発生したイベントを通じてシチュエーションが解決されます。
シチュエーションは左から右へ直線的に進むものもあれば、中央からスタートし選択によって左や右へ進むものもあります。
またシチュエーションがどの程度脅威的であるかによって、表示色も変えていきたいと考えています。
さてここまでは理論の話ですが、では実際にプレイヤーはどのような変化を期待できるのでしょうか。
それでは私たちがシチュエーション・システムで行ったこと、そして現在行っていることをいくつか紹介しましょう。
ナラティブシチュエーション
コンテンツデザインでは、ある惑星を舞台にしたストーリー性のあるイベント連鎖を実装することが多いです。
しかし、もしストーリーにもう一工夫必要だと感じたら、惑星を舞台にしたシチュエーションを作ることができます。
プログレスバーの両端に異なる結果を表示する機能は特に有用で、プレイヤーがどの種類の結論に向かって進んでいるのかを示すことができます(少なくとも複数の結果があることを示すことができます)。
ネタバレを避けるため、この方法で追加されたストーリーを詳細に述べることはしませんが、惑星をベースにした新しい物語にいくつか遭遇することになるでしょう。
シチュエーションの「ターゲティング」機能は惑星に限らないものです。
星系や宇宙基地を舞台にしたシチュエーションにも挑戦しています。
Leviathans DLCや、リヴァイアサンのNPCを追加する他のDLCをお持ちの方は、モンスターを狩りに行ったときに、ちょっとしたサプライズを期待できるでしょう😉
赤字のシチュエーション
シチュエーションは楽しいことばかりではありません。
シチュエーションシステムの原点であるEU4の災害が示すように、ネガティブな出来事を描くための素晴らしいシステムでもあるのです。
何が起きているのか、その結果はどうなるのか、現在の状況はどの程度深刻なのか、それに対して何ができるのかを知るために必要なすべての情報をプレイヤーに与えます。
このシチュエーションを使うにあたって私たちが最も優先したことのひとつが「赤字」の作り直しでした。
現時点において赤字はスイッチのようなもので、ある資源が赤字(備蓄が0、収入がマイナス)になるとすぐに、それが赤字であるがために定義されたすべてのペナルティ(これはかなり厳しいものです)が発生します。
しかし赤字ではなくなって1ヶ月を過ごすとすぐに、すべてのペナルティが取り除かれます。これはちょっと違和感がありますね。
またペナルティは全帝国共通なので、ある種の帝国に不釣り合いな影響を与えたり、他の帝国(例えば、ある種の資源をあまり必要としない帝国)を比較的無関心にしたりと頭を悩ませることがよくあります。
またある資源の不足がペナルティを生み、それが別の資源の不足を招くという「死のスパイラル」(特にAIにとって)の原因となることもあります。
今回の再設計で、赤字になるとシチュエーションが発生するようになりました。
このシチュエーションは進行度25%からスタートし、残高が0で収入がマイナスである限り、深刻度は増していきます。
その増加率は収入に比べてどれだけ損(マイナス)であるかで決まります。
備蓄があればシチュエーションの悪化は徐々に進行し、プラスの収入があればより早く進捗します。
赤字になった場合のペナルティは最初は現在の設定よりも軽いですが、状況がエスカレートするにつれて厳しくなります。
我々はまたプレイヤーの帝国の属性に応じてそれらを設定することができますので、例えばCatalytic(触媒)帝国の場合、食糧不足による合金生産量の問題が正しく発生するようになりました。
私たちはそれぞれの赤字の状況にアプローチの選択肢を与えることを目指しています。
そうすればプレイヤーはインタフェースの中からそれを緩和しようとすることができます。
そのため例えば消費財不足は、科学者に資金を提供しないことで緩和される可能性があり、その結果、研究者は維持費がかからず研究成果も少なくなります。
しかし赤字が増加し続ける場合は75%の進行度に達するとイベントが発生し、プレイヤーの帝国は本当に悲惨な財政的苦境にあり、すぐに赤字を削減する必要があることを警告します。
このときいくつかの選択肢が提示され、あなたは代償として(例えば、惑星を破壊する、特別な資源を除去する)、赤字を軽減するのに役立つ資源を手に入れることができます。
最後に赤字がひどくなってプログレスバーが一杯になると帝国は破産を宣言されます。
これは紛れもなく悪いことが起きます。
現在の効果(数字はまだ確定していません)としては、首都以外の建物をすべて最低レベルに格下げし、艦隊の半分とすべての軍隊を解散し、10年間コストが25%高く、船のダメージが25%少なく、統合力と影響力が50%低くなります。
しかしこれは死のスパイラルを避けるためのものでもあります。
これらの資産を清算する代わりに、しばらくの間生き残るためにデフォルトした資源を十分に与えられます。
さらにあなたが現在経験している他のすべての赤字状況はペナルティなしで直ちに終了し、すぐにそれらの状況に再度陥らないためにいくつかの資源が与えられます。
私たちが新しいシステムと遊び続けそのねじれを解決するにつれて、変化がこの設計にもたらされる可能性はありますが、私たちはこの新しい赤字のバージョンが現在の赤字システムにある問題の多くを解決し、経験することが正確に楽しいとは言わないまでも少なくともより面白くフラストレーションの少ないゲームメカニズムになることを期待しています。
さらなる「戦略的」シチュエーション
さらにシチュエーションを利用したシステムや機能のオーバーホールを計画しています。
これらについては(上記のシチュエーションとは異なり)、次のパッチで必ず登場するとは断言できませんが、奴隷による蜂起、惑星分離主義による蜂起、シンセティック・ドーンのAI蜂起などをこの新システムに適応させたいと考えています。
AI蜂起について:私たちは現在のチェーンの仕組みに概ね満足していますが、いくつか改善すべき点があり、UIを通じてこれを体験できることはプレイヤーにとって有益だと感じています。
例えば経験豊富なプレイヤーは警告サインとして認識するが、経験の浅いプレイヤーは何が起こっているかが分からず発生することを止めないーというイベントはたくさんあります。
シチュエーションシステムでは経験のあるプレイヤーも経験の浅いプレイヤーも、何かが起こっていることを知ることができます。
しかしこれはまた、プレイヤーがそれについて何かをしなければならないことを知るのを容易にしてしまうため、私たちはシチュエーションを終わらせるために単に種族に対する権利を変更するよりも、それを少しチャレンジングなものにすることを検討していますー結局のところロボットはプレイヤーが長年にわたって彼らから感覚を奪っていることにまだ非常に苛立っているのです!
またロボットの数があまり多くない場合に限り、ロボットのパージを実行可能なリスクの高いアプローチにすることも検討しています。
惑星の反乱や奴隷の反乱などはゲームが変化しても多くのパッチにおいてあまり愛されてこなかった機能なのでいろいろな面で改善したいと思っています。
今のところ反乱は脅威というより厄介なものです。
反乱は突然起こるように感じられますが、通常は惑星を征服し返すだけなので、あまり歯ごたえがありません(1つの惑星だけでは帝国に対抗できないので)。
このシステムに対する我々の変更はかなり初期の構想段階ですが、我々の目標は以下の通りです。
いつもならスポイラーはカットしますが今回は重要な内容なので掲載してみます。(もっとも内容は今後変更になる可能性はあります)
・星系内の1つの居住区が反乱を起こすとその星系内のすべての惑星が失われるといった問題をスムーズに解決する。星系内の他の惑星の意見も反乱の成否に影響を与えるべき。
・反乱後、惑星が他の帝国に加わることがあるシステムを改善する。(現時点においてこれは元の所有者がまだ存在し、近くにいる場合に分離主義者の反乱で発生することがあり、近くに平等主義の帝国がある場合は奴隷の反乱で発生可能)。
基本的には彼らが反乱を支持したいかどうかを事前に尋ねられるべきで、その時点でそれはより速く進行するはずだが、一方で、相手側にはこの反乱計画が分かってしまう。
また完全に併合された帝国は、場合によっては各惑星が反乱を起こして独自のミクロネーションを形成するかもしれないので、反乱が他の帝国に加わる条件も見直した方がいいかもしれない。
・反乱の際に惑星が地上戦を行う段階を取り除く案も検討している。
代わりにそこに駐留している部隊をビルドアップの段階で計算に入れることができる。
・理想的には反乱が成功すれば以前の所有者と戦争が始まる事だが、もう少し潜在的な脅威ともなるだろう。どうなるかお楽しみに。
おわりに
今日はとりあえずこれで終わりです!
更に付け加えると実はVer3.3ではすべてのシチュエーションで何ができるかのチートシートの旧版が使えるようになっています。
気になる人はこのシチュエーションシステムにおいて何を行うか計画を立てられるよう、新しく更新したものを添付しておきます。
そして来週のEladrinの開発者日記に注目してください。お見逃しなく。
以上
フォーラム内のやり取り(Q&A)
Q:なぜ反乱の場合、防衛軍はもはや関与しないのか?
惑星を侵略や反乱などから守るのは彼らの主な役割ではないのか?
A:まず一つに、反乱の予兆があるのであればすぐにジャンプドライブやゲートウェイで軍隊を投入すればいいだけなのに、それをしないというのはちょっとおかしいという面があります。
今、私たちがその要素を考慮する方法として、軍隊がシチュエーションの進行速度を下げるというアプローチがあるでしょう(もしその惑星がそれほど不満が募っていなかったりポップが少なかったりすると、そもそも反乱が成功しないということになりかねません)。
Q:スパイ活動は他の帝国にシチュエーションを引き起こすことができますか?
たとえば、非奴隷制の帝国が他帝国の奴隷の反乱に対して支援することができますか?
例えば犯罪シンジケートが支社に関連する惑星特有の状況を作り出すことができますか?(あるいは、2つのメガコープが争われている惑星で支社の権利をめぐって争う「決闘」のシチュエーションとか?)
A:それは可能です。1つのシチュエーションのオーナーになれるのは1つの帝国だけなので、2つの国が直接関わるシチュエーションというのは避けてきましたが、シチュエーションを開始し、時折、その開始者に通知を送ることは間違いなく実行可能です。
Q:メガストラクチャーのすべての場所、タイプ、出力、および費用を示すメガストラクチャー専用のシチュエーションログはどうでしょうか?
これはプレイヤーにとって非常に役立つでしょうし、追加するのは難しいことではないと思うのですが(ゲーム開発についてはよくわかりません。ゲームに追加するのが面倒かどうか教えてください)。
A:アウトライナーにメガストラクチャーセクションを設けることが理想的です(Ver3.4で実装できるとは約束はできません)。
Q:シチュエーションは惑星、星系、スターベースに限定されるのではなく、帝国全体、周辺の物体、メガストラクチャー、民間船、艦隊、更に敵の旗艦等に拡大してもよいのでは?
A:技術的には任意のスコープをターゲットにできます。
しかし私たちは惑星支援に集中することにしました。なぜならそれが最も有用だからです。
したがって現時点では、このような状況ではtarget_modifierを介して惑星にのみModを適用できます。
ただし違うタイプのターゲットであれば状況に応じてスコープを当てることは可能です。
他の帝国をターゲットにしてしまうと、その帝国はあなたがシチュエーションで何をしているかを自動的には見ることができないため少しおかしな事になってしまいます。
Q:例えば隣国に深刻な赤字がある場合援助を提供できるシチュエーションがあるかを教えてください。
これにより帝国間の相互作用の手段が提供されます。
隣国が侵略されている場合に軍事援助を提供し合金を提供し船の建造速度を上げる、私掠船として艦隊を送る、または私が持っている情報を提供することなどが選択できるでしょうか。
また自帝国が攻撃されている場合にそれらの援助を求めるオプションがあるでしょうか。
例えばスパイ活動において隣国の選挙に介入したり、彼らの皇太子を操るシチュエーションがあるでしょうか。
味方や敵を助けたり妨害したりするためには、より多くの非戦争オプションが必要であり、シチュエーションシステムはそれを行うための素晴らしい方法だと思います。
A:私の考えではStellarisにはその両方が必要ですが、2つの異なるシステムでなければなりません。
シチュエーションシステムでの私たちの目的は、私たちがカバーしようとしているケース、つまり内部の問題やストーリーをうまく扱う事でした。
シチュエーションを使ってできることはたくさんあり、将来的にできることはたくさんあります(またシステムを使用するためにさまざまなイベント・チェーンを更新する場合もあります)。
このような意味でこのスコープはすでにかなり野心的なものとなっています。
Q:シチュエーションでネガティブな要素の解決は常に左側にあり、ポジティブは右側にありますか?
A:これはUX全般でのちょっとした問題点ですがシンプルに答えればノーです。
-あることが発生する(例えば破産する)という単一の結果を伴うシチュエーションでは右側に向かいます。
このような場合に左側へ向かうとこれ以上影響が及ぼさずこのシチュエーションを単純終了することになります。
-その他のシチュエーションでは、進行状況の途中から開始し選択に基づいてどの方法を選択するかを決定できます。
このような場合はどのような行動が最善か事前に明確でないことが多いです。
Q:私が1万のエネルギー通貨を+100の月収で節約した帝国として、月の収入が変化して-200の月収になったとすると、赤字のシチュエーションが始まることを意味しますか?
それとも赤字のシチュエーションは帝国がエネルギー通貨0に達したときにのみ始まりますか?
A:エネルギー通貨が0になったときのみです。
Q:UIでリストを数字の大きなものから並べ替える事は役に立つはずだと思います。
ゲームが内容をごちゃ混ぜのリストとしてプレイヤーに提示するだけであれば、それはあまり役に立たないでしょう。
私はシチュエーションの残り時間を簡単に知りたいのです。
A:私達はUXの改善に取り組んでいます。
リスト化とそれぞれのシチュエーションでの残り時間は、次に詳しく調べる予定の2つのことです。
通常、機能を開発する過程でUIモックアップが数回繰り返され、この開発日記は初期のバージョンを示しています。
建設的なフィードバックをありがとう。
今回は以上で締めたいと思いますm(_ _)m
感想・まとめ
以上、Stellaris 開発者日記 第245回の紹介でした。
新しく実装予定のシチュエーションシステムについてのお話でしたね。
私が少し気になったのは帝国が赤字になるシチュエーションシステムで、最終的にデフォルト(財政破綻)になった場合の処置です。
日記では大きなペナルティと同時に復帰に向けた資源が与えられて、そこから帝国を再建する―という流れの説明でしたが、その復帰用の資源は誰から出てくるんでしょうか😥
友好的な帝国が付与してくれたり、あるいは銀河共同体から貸与されるというストーリーはありかもしれないけど、友好国がなく共同体に入ってない場合はそれもおかしいですし、いったいどこから資源が出てくるのかと思いました😥
実は秘密の埋蔵資源があったとか無理やり話を作るんでしょうか?
赤字のシチュエーションを作りたいがために変な展開にならなければいいのだけど…と思います。
ただ私が思うことぐらいちゃんとパラドックスの人も考えているはずですし、その辺りは上手いことゲームに落とし込んでくれることに期待したいです😊
あとは、このシチュエーションシステムの実装で確実にゲーム内でやることは増えそうですよね。
現状、ステラリスはマイクロ管理量がただでさえ多い状態なので、これ以上プレイヤー負担が増えなければいいがなぁと思います😥