ステラリス 開発者日記 第306回 生息地の実験

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更新情報

2023/7/30

フォーラム内のやりとりを更新


パラドックス社の公式フォーラムにステラリスの開発者日記 第306回が掲載されています。

今回は生息地(Habitat)に関する夏の実験のお話です。

お断り:以下の記事はパラドックスフォーラムの内容を意訳したものとなります。
リリース後数年を経てStellarisに公式日本語が実装されたことに伴い、管理人が翻訳した開発日記登場の用語と実際にゲーム中に登場する用語・表現が一致しない事があるかと思いますがご了承下さい。
※画像等はParadoxフォーラムより引用しています。
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ステラリス 開発者日記 第306回 生息地の実験

今回の担当はStellarisゲームディレクターのEladrinさんです。
※一部はAlfray​さんが担当。

冒頭の挨拶

皆さんこんにちは!

皆さんの夏がうまくいっている事を願います!
私は少し日焼けしてしまいましたが、本日はHabitat(生息地)のシステムについて行ってきた有望な実験について話す準備ができています。

この開発者日記では開発プロセス全体を見ていきますので、たとえ興味深いアイデアであっても、その後さまざまな理由で破棄されたアイデアがたくさんあると思います。

なぜ再び生息地に注目するのか?

Stellaris Custodianチームは、追求すべきことを決定する際に、3つの主要なカテゴリーに注目しています。

  • 指示:ゲームディレクターである私が指示したこと。通常は長期的な戦略上の理由に起因します。
  • コミュニティ:求められるもの。ゲームの問題点、品質の向上、バグ修正、その他コミュニティから得られた良いアイデア。
  • 情熱:個々の開発者が本当にやりたいこと。

都合の良いことに、多くの場合はこれらすべてがうまく合致しています。

まずはステラリスにおける生息地の歴史を振り返ってみましょう。

生息地が紹介されたのは、はるか昔のVer1.5のUtopia DLC導入時におけるBanksアップデートです。

そしてVer2.3のWolfeアップデートでは、Ancient Relics DLCと並行して、生息地を作るためのVoidborneの要件を削除し、生息可能性を少し調整し、そこに建てられたものに基づいてさまざまな地区を与えました。

Ver2.7のWellsパッチでは、生息地に次の大きな変更が加えられ、コストや要件が調整され、複数の階層が追加されました。

その後、いくつかの特別な生息地の亜種が追加され、他のさまざまな再設計と相まってゲーム全体のバランスが大きく変化しました。
そして最近では他の方法では拡張できないAI帝国が数十の生息地を構築する傾向を見直すようコミュニティから多くの要望が寄せられている。

Stellarisにおける生産と人口の仕組み故に、これは興味深い困惑をもたらしました。
つまり、もしAIがブロックされた場合、AIが多くの生息地を作成することは理論的には 「正しい」ことですが、プレイヤーとしては1つのシステムにつき最大12もの生息地を侵略することに対処するのは面倒な事でした。
(現在の人口増加との相互作用もゲームバランス面では常に厄介な事でした。)

生息地はあまりにもありふれていると感じられ、特定のことに長けすぎており、我々が探求していたような基本的なファンタジー性を備えていませんでした。
しかしこれらは非常に人気あるプレイスタイルにおける中心的な柱となる存在でもあり、それはそれで残したかったので、この夏の実験の格好のターゲットとなったのです。

この開発者日記に書かれていることはすべて実験的なものと考えられており、実現するかどうかはわかりません。
すべての数値はプロトタイプの作成のみを目的としたプレースホルダー版です。
現時点でこれらの変更のリリース日は設定されていませんが、コミュニティからのフィードバックは歓迎します。

様々なアプローチ

コミュニティからの最も一般的な要求の1つは、生息地の使用を制限するためにGalaxy(銀河サイズ)スライダーを追加することでした。
この選択肢は生息地を完全に禁止することから、誰も(ボイド居住者を除いて)生息地を作成できない、アセンションパークに生息地の再構築を紐付ける、AIのみを制限する、構築可能な生息地の数に(ハードまたはソフトによる)制限を設けるなど、多岐にわたりました。

またVoid Dwellers(虚空の住人)とVoidborne(銀河生まれ)のアセンションパークがこの値に何某かの割引を与えることで、生息地のコストにスターベース容量が係数となる場合についても議論しました。
ソフト上限は生息地のAI利用をうまくコントロールし、なおかつ生息地に全力投入しようとするプレイヤーの妨げにもならないため、これはより魅力的な案でした。

これらの議論は、Stellarisの生息地が一般的なファンタジーを十分に満足させているかどうか、生息地はもっと”ハードSF的”であるべきで、惑星居住に慣れた人々のために生息地のベースを更に低くしたり、あるいは上限を設けたりするべきで、Hive Void Dwellersのようなバランス上の課題に対処するような変更を加えることはできないか、という疑問へとつながりました。

より「複雑な」見方

私達は既存の生息地システムによって引き起こされている現在の課題のいくつかをリストアップし、これが「もしも星系内のすべての生息地がリンクされているとしたら?」というアイデアに繋がりました。
これは星系を奪取する際の負担を軽減しつつ、星系全体への興味深い生息地の拡大を維持し、銀河系内の過剰な数の生息地によって引き起こされる他の問題のいくつかに対処する可能性があります。

開発チームのAlfrayはこれの信じられないほど無茶苦茶で全くもってリリース不可能なバージョンをまとめ、夏の間にそれらのテストを繰り返しました。

このバリエーションでは、星系内に構築された最初の生息地が、中央生息地複合体となります。
そして追加される生息地は、中央複合体に追加のスペースと汎用性を追加するサポート生息地にないます。
以下紹介するスクリーンショットでは、多くの値が著しくバランスを欠くプレースホルダー版であることに注意してください。

さてこの時点で私は休暇に出かけましたので、以降はAlfrayに引き継いで彼の調査について話をしてもらいましょう。

もう一度Alfray​へ

以下のスクリーンショットに示されている数値は最終的な値を意図したものではなく、純粋にシステムの使用感や遊び方をテストする目的で使用されたものであることに注意してください。

まず第一に、最低限のサポート生息地があれば、中央複合体は小さく、窮屈で、全体的に住むには適さないだろうという予想される変化に対抗するため、Void Dwellers(虚空の住人)に特別な地区と建物スロットを固有の修正値として与えました(これは後のプロトタイプでさらに洗練化されました)。

メガストラクチャとしてのサポート生息地:

これらのプロトタイプの最初の繰り返し作業では、追加のメガストラクチャとしてサポート生息地を使用しました。

このプロトタイプでは、各タイプの資源収集地区(エネルギー、鉱物、研究)の最大量で戦略資源用の建物が制限されているのと同様に、生息地が建設される鉱床の大きさによって制限されました。

サポート生息地は、生息地中央複合体に追加の地区、建物スロット、住宅を提供する一方で、生息性を(生息地間の民間人の往来を反映するために)向上させながら削減しました。
最終段階では、生息地複合体が軌道上の惑星の衛星の鉱床を利用することも可能になりました。

表面的にはこのプロトタイプは、私たちの初期要件そしてそれ以上のものを満たしているように見えます:

  • 生息地のスパムで星系を征服するのは、星系ごとに機能する「惑星」が1つしかないため簡単だった。
  • 星系ごとに複数の生息地を建設することは、既存のコロニーをアップグレードすることになり、やりがいを感じる。
  • 複数の開始時コロニーの削除により、ハイヴ・マインドがVoid Dwellerの起源にアクセスできるようにするための主な懸念の1つが取り除かれたーつまり初期のゲームでの過剰な数の産卵プールによる高いポップ成長率のことです。
    (開発チームのIggyはこの件について、将来の開発者日記で言及することになるだろうと思います。)

Void Dwellerの生息地複合体

やや煩雑とした星系には生息地複合体が存在していることを示す

しかし、サポート生息地はアップグレードされた外部と交流することができず、大きなマイナス面のように感じられました。
敵艦は喜んで通り過ぎてサポート生息地を無視し、特化したり格下げもできません。

すべてを考慮すると、このプロトタイプは太陽系内の多くの実体に広がる単一の論理的な惑星に生息地を築くには良いのですが、メガストラクチャというのが我々の目指す方向性ではないことが示されました。

スターベースとしてのサポート生息地:

以下のスクリーンショットに示されている数値は、最終的な値を意図したものではなく、純粋にシステムの使用感や遊び方をテストする目的で使用されたものであることに注意してください。

以下のスクリーンショットには、スターベース、建物、モジュールのプレースホルダーアートとデフォルトのアートが含まれています。

このプロトタイプの2回目の作業では、サポート生息地を(オービタルリングのような)特別なスターベースとして扱うことを検討しました。

今回のプロトタイプでは、生息地中央複合体が利用できる地区は、同じ星系にあるサポート生息地の構成に依存します。
したがって生息地中央複合体を建築すると、同じ惑星軌道上に隣接するサポート生息地が自動的に建築されます。

サポート生息地が作られれば、軌道上にある惑星のあらゆる堆積物と一致するモジュールから始めることになります。
サポート生息地の各地区モジュール1つにつき、生息地中央複合体にそのタイプの地区が+3与えられます。

サポート生息地をアップグレードしても、メガストラクチャ版のプロトタイプで示されたものと同じ修正効果が与えられます。
さらにサポート生息地の各階層ではサポート生息地モジュールの追加建築が可能であり、第2、第3階層ではサポート生息地建物の建築が可能です。

ボイド居住者帝国の出発点となる生息地中央複合体と、その近隣にあるサポート生息地。

全く専門化されていない新しく建設された生息地中央複合体

サポート生息地の専門化を通じて生息地中央複合体がアクセスできる地区を選択できるようにすることで、生息地に依存する帝国のあり方に興味深い変化がもたらされます。

プロトタイプの性質上、サポート生息地の建物についてはまだあまり調査されていませんが、おそらくオービタル・リングにあるような建物や、上記のメガストラクチャ版のプロトタイプの実験における拡張サポート生息地による月次抽出のサポートやその他に似た建物が含まれる可能性が高いです。

地区の能力の一部を利用して水耕区を提供する研究生息地複合体。

夏の実験という性質上、このプロトタイプがゲームのライブバージョンに採用されるかどうか、またその時期については明言できませんが、今後も調査を行っていきたいと考えています。

…しかし、4つ目は立ち続けた!

管理人補足:↑の見出しの原文は”…But the fourth one stayed up!”です。
これ何の慣用句か調べたらモンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル(モンティ・パイソンと聖杯)という映画に出てくる、沼地にお城を立てるなんて馬鹿げてると批判され、1回めは沼に沈んで駄目、2回めも沼に沈んで駄目、3回めは燃えて倒れて沼に沈んだ、そして4回めでうまくいった…というシーンに出てくる言葉のようです🙂

ありがとうAlfray。

これらのバリエーションは、私たちが求めていたゴールの多くを達成することができましたが、スクリプトを棒と麻ひもでこしらえたようなもので、手っ取り早く酷い実装状態でした。
また何度もクリックする必要があり、私たちはあまり好きではありませんでした。だから、その1つが燃えて、倒れて、沼に沈んだ後、私たちは別の反復を思いつきました。

私のフィードバックは「物事をシンプルに」です。

私達がこれまでプレイしてきた最新の亜種は特に有望です。
このバージョンではスターベーススタイルのサポート生息地を、モジュールを構築するのではなく単層の「事前に特化された」ユニット(UX上の目的でOrbitalsと改名しています)に変更しました。
これにより採掘オービタルや研究オービタルなどを構築できます。

これにより生息地の構築の流れが劇的に簡素化されると同時に実装が改善されました。

特化前の研究オービタル

主要な生息地複合体上の固有建物は、オービタルの効果を高める事ができる。

このモデルはまだ実験中ですが今のところは気に入っています。
テクノロジーにより主要な生息地複合体を変更できる特殊なオービタルタイプや建物を追加することができ、私たち(またはMod制作者)が新しいタイプを追加することは非常に簡単となっています。

地区ごとの雇用も見てきましたが、複合体には従前の生息地システムとは異なる課題があり、Voidborne(銀河生まれ)のアセンションパークをさらに更新しました。
Void Dwellers(虚空の住人)はその効果を持ってスタートします(シュラウドの教師の帝国がMind over Matterで効果的にスタートするのと似ています)。

Void Dwellers(虚空の住人)は伝統における生息地構築コストの削減を受けます。

次は何か?

とりあえず今日見ていただいたことについて、ご意見をいただければと思います。
また、このような全体的なプロセス(失敗も含めて)を見ていく開発者日記が好きかどうかもフィードバックしてもらえると嬉しいです。

来週はあまりうまくはいかなかった、リーダーに関する夏の実験と、それを今後どう進めるかについての計画について話したいと思います。

それではまた!


以上

フォーラム内のやり取り(Q&A)

フォーラム内のやり取りで気になったものを紹介(全てを紹介するものではありません)。

Q:征服者として生息地を解体することはできるのか?

A:最終プロトタイプではオービタルは艦隊によって攻撃される可能性があり、HP残り5%に達すると無効化されます。
無効化されると中央複合施設に向けて恩恵が提供されなくなります。
これにより、地区が破壊されたり建物が破壊されたりする可能性があります。

他の軌道ステーションと同様、オービタルの所有者は自由に解体することを選択できますが、中央複合体はコロッサスによってのみ破壊できます。


今回はそれなりにたくさんのやり取りが出ていたのですが、

  1. そもそもまだ実験段階であって、そもそもこのオービタルへの変更が実装されるか自体が不透明
  2. よってQ&Aで出ている話題も実際どうなるのかが不透明なものが多い(というかほとんど)

という感じなので、多くのものがこれを紹介したところで意味あるのかなぁ…😥という感じでした。
よって明確に「これはこうである」と明言されているものだけの紹介にとどめました。
ご了承くださいm(_ _)m

感想・まとめ

以上、Stellaris 開発者日記 第306回の紹介でした。

久々の開発者日記でした。
今回紹介された内容がそのまま実装されるか、そもそも実装されるか自体も不透明ですが、生息地についてはまた何某かのテコ入れが入りそうですね。

日本はまだまだこれから暑くなるのでもっと夏休みでも良いのでは…と思いますが、スウェーデンだともう夏は終わったんでしょうか?😥
とりあえず開発者日記は来週以降、いつもの週一木曜日の状態に戻りそうです。

毎日とにかく暑いので皆様も体調管理にお気をつけくださいm(_ _)m

それでは( ✧Д✧) カッ!!